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一軍を経験し「このままじゃだめ」。
西武・金子一輝が痛感した走塁力。
posted2018/07/12 13:30
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
NIKKAN SPORTS
5月22日のソフトバンクホークス戦。スタンドに飛び込んだ打球に気づいた金子一輝は、大きな目を丸くしながらダイヤモンドを一周した。プロ初ヒットを初ホームランで飾る派手なデビューを飾った金子一輝は、そのときをこう振り返った。
「あれは本当にたまたまですよ。奇跡ですって。あの球が来て、あのタイミングで打っていなかったらホームランにならなかった。あの打席はプロに入って初めての試合で、だから自分のスイングをしようとしか考えていなかったので」
金子一輝は現在、再昇格を目指して二軍で自分の課題と向き合っている。
初めての一軍昇格、一軍の試合、一軍の投手との対戦を経験したからこそ、わかった課題も多いと目を輝かせて語る。
「攻走守、すべての面において課題が見つかりました。今はその課題をひとつひとつ、つぶしているところです。まず打撃で感じたのは、甘いボールが来ないのでとにかく1球で仕留めることが大事です。
以前までは2ストライクを取られた後も、それまでと同じように何も変えずに振っていたんです。特に意識をしなくても対応はできていたので、それを続けていました」
一軍を経験し「このままじゃだめだな」。
今年、金子一輝はイースタンリーグの開幕からヒットを量産し、一時は首位打者に躍り出る時期もあった。
「でも一軍の打席を経験して、自分の中で意識の変化がありました。どう対応していくかということを考えるようになりました。プロ入り最初の打席でフォークボールを三振したんです。当たると思って振ったら当たらなかったんです。このままじゃだめだなって思いましたね。
一軍の投手の変化球の精度や切れを考えて、追い込まれてからは、少し右方向を意識するようになりました。そういう意識の変化を持たないと、追い込まれてしまったらもうヒットを打てないな、と」