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塩谷司はUAEで代表復帰に燃える。
「意志が強いとは思わない。でも」

posted2018/07/13 11:30

 
塩谷司はUAEで代表復帰に燃える。「意志が強いとは思わない。でも」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

いまも、センターバックとして海外でプレーする選手は数少ない。塩谷司の急浮上もおおいにありうるのだ。

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

PROFILE

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Yuki Suenaga

 トンネルを抜けた先に、栄光が待っていた。

 塩谷司、29歳――。

 2016年、オーバーエージ枠で参加したリオデジャネイロ五輪で失意を味わい、翌年のJ1ではサンフレッチェ広島が残留争いに巻き込まれた。

 このままじゃいけない。

 シーズン途中の6月、彼は海を渡る決断を下した。オファーが届いていたUAEの強豪アルアインへの完全移籍。あれから1年、彼はチームの主力を担い、3年ぶりのリーグ優勝に貢献した。

 地元UAEで開催される12月のクラブワールドカップの出場権を得るとともに、来年1月に同じUAEで行われるアジアカップにも意欲をのぞかせる彼がいた。

 濃密な時間を過ごしてきたことは、表情を見れば一目瞭然である。

 6月、日本に帰国していた塩谷に1シーズンを振り返ってもらうと「すべてがいい経験になりましたね」とその顔をこちらに向けた。

病室にまでファンが押しかけた人気ぶり。

 アルアインはUAEの司令塔を務めるオマル・アブドゥルラフマンをはじめ同国の代表メンバーが揃い、日本でもお馴染みのカイオ、ドウグラスのJリーグ組もいた。スウェーデン代表マルクス・ベリは今回のロシアワールドカップでも活躍している。

 このチームで塩谷は右サイドバックで定位置をつかんだが、最も多く起用されたのは左サイドバックだった。

「個で勝負するチームが多いなかで、アルアインはパスをつなぐサッカーを目指していました。リーグ全体で言うと、ちょっとPKが多い。ペナルティーエリア内でそのタックルするの? っていうのも少なくないんです。だから自分も影響されないようにと意識してプレーしていました」

 昨年11月には肩を負傷して手術を受けた。クラブの公式インスタグラムでは病室でカンドゥーラ姿の男性たちと映り込んだ写真がアップされている。

 アルアインの関係者かと思いきや「そうじゃないんです」と打ち明ける。

 塩谷の手術成功を喜んだアルアインのファンが、病室まで押しかけてきたとか。セキュリティーの問題はさておき、塩谷人気を表わすエピソードの1つである。

【次ページ】 イランの“ド”アウェーで鍛えられたメンタル。

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