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ベルギー戦後にオシムが喝破した、
日本代表のさらなる伸びしろ。
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byGetty Images
posted2018/07/07 09:00
ベルギーの守護神ティボー・クルトワ。ゴールを守るだけでなく、決勝点のお膳立てまでキッチリこなした。
オシムが考える、日本サッカーの強さとは?
「ひとつひとつの動きや素早いスプリント、それもひとりではなく3~4人が素早くなめらかに連動したプレーが続いた結果こそが、素晴らしい試合ということだ。
それは“チームの中により小さないくつかのチームが生まれたとき”に勝利が得られる、という意味でもある。現代のサッカーでは、チームの中にいくつもの小さなチームがある、と言える。
そして、同じチームでずっとプレーすることによって生まれるコンビネーションや相互理解こそが、日本代表の強さでもある。
特に守備はそうあるべきだ。守備は数年一緒にプレーすることで生まれてくる強さがある。優れたテクニシャンや優れたチームに対して、試合の最後まで守り切るということは、大きな一撃と言える。
あとは中盤をもう少し強化して、よりプレーを流動化させること。それが今の日本の力の根源であるのだから。恐らく、その部分では、日本はさらに進化することができるだろう」
「クルトワのプレーは素晴らしかった」
「それからGKももっとプレーに加わるべきだ。
現代サッカーにおいては、GKこそさらなるプラスアルファを加えられる唯一の可能性であるからだ。
どこが危険であるかを素早く判断してプレーをスタートさせること。ベルギーの決勝点がそうだ。
クルトワのような優れたGKがどれだけ瞬時に状況を判断したことか……あのプレーは素晴らしかった。クルトワのあのプレーから、デブライネがひとりでボールをピッチのはじからはじまで運んだ。たしかに走るスピードは彼の長所のひとつかもしれないが、彼はひとりでスタートして素晴らしいパスを出したのだから、もっと称賛されてしかるべきだと思う。あの決勝点は、ゴール前からゴール前までの、恐ろしく長いカウンターだった。
こういうプレーこそ、より注意深く見ていくべきだ。とても美しいし楽しくもあるプレーだ。
こうしたことがサッカーの新たな魅力を生み出していくのだから……。
サリュ、モンビュウ。チャオ」
――メルシー、イバン。