セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
奇跡のセリエA復帰を祝ったが……。
パルマに待っていたSNSの落とし穴。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2018/06/27 10:30
伝統ある「パルマFC」は財政難を理由に売却され、'15年6月に消滅。その後、「SSDパルマ・カルチョ1913」としてセリエD(4部)から再出発した。
レジェンドたちはパルマを応援している。
パルマ側は「裁定委員会が賢明なご判断を下されることに微塵の疑いもありません」と声明を出しつつ、7月上旬に予定されている審理での弁論の準備を進めている。
こうなれば、移籍市場での補強交渉どころではない。
6月23日、「タルディーニ」でサッカーイベントが行われた。以前、本コラムでも紹介した、'90年代黄金期のカルチョシーンを追体験する「オペラツィオーネ・ノスタルジア」だ。
今回の目玉は、往年の名選手たち「パルマ・レジェンズ」によるエキシビジョン・マッチだった。
現在、クラブのアンバサダー職にあるクレスポの下に集結した顔ぶれは、ベロンやアスプリージャ、ディノ・バッジョにモルフェオら、いずれも当時の各国代表で鳴らした強者たちばかり。
懐かしのグラウンドで汗を流した彼らは皆一様に古巣のセリエA復帰確定を心底願っていた。パスの名手だったベロンの言葉は真っ直ぐだ。
「パルマはグラウンドでの結果として昇格を手にした。セリエAにいるべきだ」
イベントに詰めかけた6000人の観衆やパルマ市民も同じ思いだろう。
パルマのセリエA復帰は幻に終わるのか。
移籍市場の補強交渉は滞っている。決して楽観できない状況の中、パルマは7月6日の新シーズン始動を密やかに待つ。