ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
オシムが喜んだのは勝利だけでない。
「香川は円熟の境地。酒井は力強い」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byKaoru Watanabe/JMPA
posted2018/06/22 08:00
オシム元代表監督が高く評価していた酒井宏樹。ハメス・ロドリゲスとの対決でも、相手を封じ込めていた。
コレクティブな素晴らしさを示した。
――確かに酒井は身体的に強いですね。
「全体的に言っても……チームがここまでになったのは驚くべきことではない。
スタメンのほぼ全員がヨーロッパでプレーしているのは、ほとんど妥協を許さない世界レベルのプロフェッショナルなグループであることを意味しているからだ。
純度100%のプロチームで、そこではプレーのひとつひとつの確実性がとても重要になる。
必要なときに必要なプレーをする。それがこのコロンビア戦のピッチ上で起こったことの全てだ。彼らはすべて本物の選手だった。何をすべきかを良くわかっている世界レベルでのプロだった。
この試合に関しては、そのことがすべてで……私には喜びしかないよ(笑)。
こうなった以上、さらに多くが可能だと私は見ている。というのも相手が日本に対して敬意を払うからだ。日本は上質なプレーができることを選手は示したし、コンビネーションやコレクティブな連動性の素晴らしさを示したのだからね」
何度でも言うが、私に驚きはない。
――日本サッカーの、これまでの歴史の積み重ねの成果……ということでしょうか。
「たしかにピッチ上で選手が1人多いというのは大きなアドバンテージだが、そういう状況下で成熟したチームは何をすべきか、ということを彼らはよく理解していた。
ボールをしっかりとキープし、自分たちにスピードがさほどないのであれば、ではどうすればいいのか……ということを。
だから何度でも言うが、私に驚きはない。
私は随分前からこういうスタイルだった日本代表チームを知っているし、彼らがピッチの上でどうするかも良くわかっていたから。
つまり……彼らには経験があった。それと同時に、抜け目のないプレーもできるようになっていた。何人かはヨーロッパで長くプレーしているのだからね」