ロシアW杯PRESSBACK NUMBER
オタメンディと尻を蹴り合った仲!?
母国アルゼンチン優勝を願うJ戦士。
posted2018/06/20 08:00
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
Takuya Sugiyama
32年ぶりのアルゼンチン優勝を待ちわびているJリーガーたちがいる。
京都サンガのエスクデロ競飛王は18歳のときに日本国籍を取得し、今年で30歳を迎えるが、心はアルゼンチン人のままだ。6月16日の東京ヴェルディ戦後、味の素スタジアムで取材に丁寧に応えながらも時計を少し気にしていた。同日夜は、アルゼンチン代表のW杯初戦だった。
「この後、実家(埼玉県)で家族そろってアイスランド戦を生放送で見るから。アルゼンチン人にとって、国を懸けた最大のイベント。見ている僕らもピッチの選手と同じ気持ちで戦う。なるべく、早く帰らないと」
それでも、話が母国代表のことになると、はやる気持ちを抑えて、あふれる思いを熱っぽく語ってくれた。
「3度('14年W杯、'15、'16年コパ・アメリカ)の準優勝は、このロシアW杯で完結する物語の一部だと思う。だから、今回こそはメッシとともに優勝できる気がしている」
エスクデロが受けた“英才教育”。
1988年生まれのエスクデロは、まだ1度もアルゼンチン優勝の瞬間をその目で見ていない。それだけに思いは募るばかり。
W杯を初めて真剣に見たのは10歳のときだ。日本代表が初めて出場した1998年フランス大会。当時、エスクデロはブエノスアイレスに住んでいた。サッカーに明け暮れていた少年は、大会の歴史を自ら調べ、第1回の'30年ウルグアイ大会からすべての優勝、準優勝チームをチェック。本や雑誌の切り抜きなどを集めてファイルを作成したという。
そこで'78年大会のマリオ・ケンペス、'86年大会のディエゴ・マラドーナといった偉大な母国の英雄について詳しく知った。プロサッカー選手(共に浦和レッズでもプレー経験あり)だった父と伯父に昔の話を聞くと、実体験を交えていろいろと語ってくれた。