福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
福西崇史が現地で見たW杯直前情報。
日本のプラス材料、優勝候補は?
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byGetty Images
posted2018/06/14 18:00
パラグアイ戦でゴールを決めた乾は、長友らベンチメンバーの元へと駆け寄った。こういった行動の積み重ねが一体感を生むはずだ。
乾と香川が活きたのは岡崎の献身もある。
とはいえ、西野監督にとって初勝利となったパラグアイ戦では攻撃面で結果が残せたことは自信になると思います。特に乾と香川はゴールやアシストという結果はもちろん、セレッソ時代にチームメートだったからこそのコンビネーションが出たのは大きい。
2人が活きた理由としては、岡崎のプレーぶりも大きかった。得意の裏を狙う動きを繰り返したことで、パラグアイの最終ラインがズルズルと下がっていった。これで中盤との間にスペースが空いた結果、乾と香川のテクニックと連係が活きました。その好影響はボランチに入った柴崎にもあって、鋭い縦パスで攻撃のスイッチを入れていましたね。
このテンポの良さが出せれば、日本にとっては理想的な展開です。ただし初戦のコロンビア戦はハメス・ロドリゲスやクアドラド、ファルカオなど前線にワールドクラスの選手がいるだけに、パラグアイ戦ほど押し込む時間帯は長くはならないでしょう。
そこを踏まえて西野監督は先発メンバーを選ぶことになる。バランスを取りつつコンディションのいい選手をどう使うか……これは相当難しい判断でしょうね。
2列目の組み合わせ、長友の金髪について。
フォーメーションは4-2-3-1が基本でしょう。ただ前線の組み合わせは、誰が出てもいい状態になってきた。それは岡崎、香川、乾のコンディションが整ったことにあります。3人は国内合宿に合流した段階でケガの影響が懸念されていました。ただパラグアイ戦でそれぞれ長時間プレーできたことはプラス材料です。
トップ下は香川もしくは本田、左サイドは乾か宇佐美、1トップだと岡崎か大迫、右サイドだと原口か武藤となります。それぞれの良さをどう組み合わせていくのがベストなのか。コロンビア戦直前まで見極めていくことになるでしょう。
ちなみにチーム内のムードは、いい方向に行っているんじゃないかなと思います。日本でも話題になりましたが、長友の金髪が象徴的です。日韓W杯の時は髪を染めた選手がもっといましたけど(笑)。
もちろん、ああいったタイミングでアクションを起こすのは長友らしいし、チームメートの心もほぐれる。“イジられる”ことがコミュニケーションのきっかけになったりします。
いろいろ言われたとしても、すべて受け入れる覚悟があるからこそでしょうし、W杯は活躍するかどうかがすべて。本人もそれを分かった上での行動でしょうし、どんどんポジティブな雰囲気を作ってほしいです。