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西武・金子侑司はきっかけを探す。
「打つ自分をイメージできなかった」
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2018/06/14 08:00
勝負強さを発揮するのは右打席が多い金子侑司。左打席は現在課題を克服中だ。
「何でもいいからきっかけが欲しい」
それでも徐々に復調の兆しは見えている。5月26日に放った8回同点ホームランは、思い切り振り抜いた一打。迷いを断ち切りたいという金子の思いが詰まった一発に見えた。
「どこかで踏ん切りをつけなきゃいけないと思っていたし、あとは何でもいいからきっかけが欲しいとは思っていたんですけど。ただ、あの試合で、少しはヒットを打つ感覚を思い出せたかもしれません」
本塁打を放ち、その直後に西武ファンの待つレフトの守備位置に走るときは「本当にうれしかった」と素直に感情を言葉にした。
「まだまだ復調したとか、そんな風に言える段階でも成績でもないです。今は一試合、一打席に集中して、自分のできること、やるべきことを考えてガムシャラに精いっぱいやるだけです。
この成績でもずっと使ってもらっているので、何とかその恩を返していきたい。序盤、なかなか塁に出ることができなくて、でもその少ない機会の中でいくつか盗塁できた。それは周りの選手が助けてくれているからだと思いました。感謝しています。だからこそ、何とか、これから結果で返していきたいと思う」
俊足に不調なし、を地で行く。
本人が振り返るように、打撃が奮わなくても、金子の俊足はチームの重要な戦力となっている。
6月3日の阪神戦、ヒットで塁に出ると「けん制はほぼない」というチームの分析のもと、金子は大胆にリードを取った。結果、相手投手の動揺を誘い、けん制球が大きく逸れて進塁。貴重な得点につながった。
2015年に守備・走塁コーチに就任して以来、佐藤友亮コーチはずっとこう語っている。
「走塁や盗塁、けん制でアウトになっても、きちんと理由があり首脳陣を納得させる説明ができるならアウトになったことで選手を責めません」