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ナダル、世代交代を阻み全仏V11。
聖地への愛と絆とフランス語。 

text by

山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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photograph byGetty Images

posted2018/06/13 08:00

ナダル、世代交代を阻み全仏V11。聖地への愛と絆とフランス語。<Number Web> photograph by Getty Images

ローランギャロスで優勝カップを受け取ったナダル。11度目の今回はかみしめるような喜びの表情を見せ、観客も称えた。

「1つの大会で11回も優勝するなんて」

 そのナダルが2017年にロジャー・フェデラーとともに全豪オープンの決勝に進出し、全仏で復活優勝を遂げた。フランス語を話すナダルに、ローランギャロスへの愛情とパリの人々への献身、V10への覚悟を感じたものだ。1年経ち、絆はより強くなって、再び困難を乗り越えさせた。

 ナダルは言う。

「1つの大会で11回も優勝するなんて、夢にも考えられないこと。でもこうして実現した。この機会を僕に与えてくれた人生にいつも感謝の思いでいる。僕と同じように、いやそれ以上にがんばっているにもかかわらず、こんな幸運には恵まれてない人も大勢いるのだから」

 終わったはずのナダルの時代はこの先いつまで続くのか。今回の敗者ティームがキーマンになることは間違いない。

「来年は僕もフランス語を話せるようになって戻って来たい」

 そう言ってはにかんだティームの今の恋人は、フランスのクリスティナ・ムラデノビッチ。そういえば、セリーナ・ウイリアムズもかつてフランス人コーチのパトリック・ムラトグルーとの恋人時代にあっという間にフランス語をマスターして、フレンチ・オープンではインタビューもスピーチもフランス語でこなすようになった。

 次代のクレーコート・キング候補の1年後も大いに楽しみだ。

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