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シアラーが語るケインとサラー。
「私の記録をさらに超えて欲しい」
text by
デイブ・ハリソンDave Harrison
photograph byGetty Images
posted2018/06/12 16:30
プレミアの舞台でゴールを量産したケイン(左)とサラー。ロシアでも主役候補だ。
オーバメヤンの課題はメンタル面だった。
ピエール・エメリク・オーバメヤンも、様々なクラブでプレーしてきた選手だ。特にドルトムントでは、144試合で90以上のゴールを決めている。この決定力の高さは天性のスピードに負うところが大きいが、身体能力の高さだけを要因に挙げるのは適切さを欠くと思う。フィニッシュのタッチが良くなければ、得点にはつながらないからだ。彼はゴール前での冷静さという点でも超一流だし、ハードワークも厭わない。だからこそどんなチームでもゴールを量産してきたのだと思う。
ただしオーバメヤンに関しては、メンタル面の不安定さも指摘されてきた。ゴールを決めた直後に、子供じみたマスクを被って物議をかもしたこともあるし、練習に遅刻することも珍しくないらしい。28歳でベテランの域に入りつつあるのだから、精神的に落ち着いてきてもいい。
その意味でも、冬にアーセナルに移籍したのは、プラスに働くかもしれない。ベンゲル監督は、プレー以外の部分でも選手にディシプリンを求める。自分を良い意味で律することを覚えれば、オーバメヤンはFWとしてさらに飛躍できるはずだ。
ジェズスのポリバレントさは悩みのタネ?
現代のFWには、ゴールを決めるだけでなく、様々な局面やポジションでプレーできる能力も求められる。ガブリエル・ジェズスもポリバレントな選手だ。
セレソンに若くして名を連ねているだけあって、決定力の高さは折り紙付きだ。それでいて彼は、中央からワイドに流れていくプレー、セカンドトップ、ウイングや攻撃的MFまでこなすことができる。
ただし彼の場合は、こういう特性がクラブ側にとって悩みのタネにもなっている。
ジェズスは昨シーズン途中、マンチェスター・シティに移ってきたが、ペップ・グアルディオラでさえも、適性を見極めるのに苦労しているような印象を受けた。
とはいえ、この問題は時間が経てばいずれ解消されていくだろう。むしろ不安材料になっているのは、怪我の多さだ。