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ロシアの皇帝モストボイの今は……
プルシェンコとアイスホッケー!?
text by
篠崎直也Naoya Shinozaki
photograph byUNIPHOTO PRESS
posted2018/06/05 17:00
1990年代後半から2000年代前半にかけてセルタの中盤を司ったモストボイ。引退後の人生も数奇だ。
カルピンはビジネス展開する一方で。
'04年にセルタを去ったモストボイは、新天地アラベスでわずか1試合に出場した後、現役を引退。'05年にはビーチサッカーのロシア代表となり、ユーロカップで中心選手として準優勝に輝いている。
ピッチを去った後は、現役時代の多くを過ごしたスペイン、ストラスブール時代に知り合った元妻が住むフランス、母国ロシアを数カ月ごとに行き来する生活を送っている。息子のアレクサンドルはセルタのユース出身で、現在スペイン5部でプレー。時おり応援に駆け付けるなど、離婚後も家族との時間を大切にしている。
セルタでの同僚カルピンがスペインでビジネスを展開し、指導者としてのキャリアを積む一方、モストボイは悠々自適な生活を謳歌している。監督業への関心については「やりたい気持ちはあるし、できるとは思うが、誰も連絡して来ない。ライセンスをそもそも持っていない」と真剣には考えてはいないようだ。
バルサやレアル移籍より「王様」として。
現役時代はバルセロナやレアル・マドリーへの移籍話もあったが、「王様」として自由にプレーできるセルタを安住の地に選んだのは、自身の気難しい性格が影響している。
現在はモスクワでレストランのチェーン店を経営し、'07年からはコメンテーターとして多くのスポーツ番組に出演中。「ロシアのクラブで仕事を得るにはコネが必要」「ロシアに外国人審判は必要ない」「プレー経験のないスルツキは代表監督に相応しくない」など、独自の見解による辛口コメントで度々メディアを賑わせている。
激しい気性がそのままコメントにも表れているが、外国とは一線を画す内向きのロシアサッカー界に対する厳しい視線は、スペインで一時代を築いたレジェンドだからこそ許されるものだろう。しかし、その裏には若くして祖国を飛び出し、長年外国で暮らしたがゆえの強い愛国心が溢れている。