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世界中を驚かせたジダンの電撃退任。
その裏にあるマドリーの特異な事情。
posted2018/06/06 17:00
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Getty Images
チャンピオンズリーグ(CL)で3連覇を果たした5日後、ワールドカップに視線を向け始めたメディアとファンを振り向かせるニュースをR・マドリーが発信した。
ジダン監督の辞任である。
プレシーズンの計画を数週間前に組み立て、新戦力の獲得にも動き出していたジダンのこのタイミングでの退陣は、クラブ関係者にとっても青天の霹靂。テクニカルスタッフも「側近の我々でさえ予期できなかった」とコメントしている。
また、CL決勝前夜もまったく普段どおりで言葉にも素振りにもおかしなところはなく、偉業達成後も態度に変わりがなかったことから、記者会見前日に「会って話したいことがある」との電話をジダンからもらったペレス会長も、休暇に入るという報告か補強の件だと思ったらしい。
「勝てる気がしないときは去る」
記者会見の席で、ジダンは辞任の理由を述べている。
「マドリーは勝ち続けなければならない。そのためには変化が必要だ」
「この先も勝ち続けられるかどうか分からなくなったんだ。長いシーズン、何が起きるか分からないけど、自分の望みどおりになるとはっきり思えないときは、ジタバタしないで辞める方がいい」
「多くの人は『なぜいま?』と思うだろうが、いまこそ変化を起こさなければならない。3年経っている。正しい判断だと思う」
「私は常に勝ちたいと思っている。勝てる気がしないときは何かを変えなきゃいけない。現役時代も勝てなくなったときは誰かのせいにしたりせず、自分から去ることを選んだ」
つまるところ、マドリーが今後も強くあるためには新しい刺激が必要であり自分は潔く身を引くということなのだが、決断のカギを握ったのは“消耗”と見られている。