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松田宣浩、4年ぶり先発落ちに発奮!
「ケンケン打法」が半足前で復活。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKyodo News
posted2018/06/06 10:30
松田宣浩は1983年5月17日生まれの35歳。本塁打を放った後にベンチ横で行う「熱男」パフォーマンスも健在だ。
工藤監督が指摘した打席の立ち位置。
今年はミスが目立ち守備範囲の狭さも指摘され、守備固めでの交代を何度か命じられていた。極めつけは5月30日のタイガーズ戦(甲子園)だ。松田は3打席凡退して迎えた6回表の打席でも二ゴロに倒れると、その裏からベンチに退いた。
6対3とリードしていたとはいえ、お役御免という点差でもイニングでもない。ベンチに座る松田が中継カメラで何度も抜かれた。懸命に声を張り上げる元気印だったが、やはりどこか寂しげだった。
その2日後のスタメン落ち。連続先発が始まった4年前は骨折離脱からの復帰だったため、不調でスタメンを外れたのは'09年まで遡る。
藤本博史打撃コーチは「関西から福岡への移動ゲームだったし、そこも考慮した」と説明。考える時間を作ってほしいとの親心も示した。また、そのうえで工藤公康監督は打席での立ち位置を松田に対して指摘した。
松田は極端にベースから離れて立つ。「もともと怪我の多かった選手。死球で骨折したこともあるし、出来るだけ防ぎたい」とは本人談。かつては'09年から'14年までの6年間で5度も骨を折ったことがあった。しかし、工藤監督は「外の球を追いかけすぎている」と松田に声をかけた。松田はその日の打撃練習から、打席のベース側ギリギリに立ってバットを振っていた。
スタメン復帰で見せた燃えたぎる意地。
6月1日の試合は、9回に守備のみの出場。連続試合出場は続いた。2日には早くもスタメンに復帰した。8番での起用だったが、松田がどれだけの気合いを入れていたのか容易に想像できる。熱男が燃えたぎるような意地を見せたのだ。
打席では半足分ベース寄りに立って臨み、1、2打席目に左腕から左前ヒット。3打席目は代わったばかりのベイスターズ中継ぎ右腕の三嶋一輝が投じたスライダーに食らいつき、三塁線を破るタイムリー二塁打を放った。
「たった1日で打撃はそんなに変わるものじゃないし、気持ちも同じ。今までだって手を抜いてやっていたわけじゃない」