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土屋征夫43歳、今も“J5”で現役。
「親子対決、真剣勝負で行くよ」
text by
渡辺功Isao Watanabe
photograph byIsao Watanabe
posted2018/06/07 10:30
関東リーグ1部で今も現役を続ける土屋征夫。なお後ろにいるのは「デカモリシ」こと森島康仁だ。
移籍後初出場で同点ゴールをゲット。
そんな土屋をはじめ、清水康也、吉田正樹といったJリーグの実績がある30歳を超えた選手たちが、人のためにガムシャラに走り、身体を投げ出してプレーする姿を目の当たりにした若い選手たちには、何かしら感じるものがあったようだ。
「たとえ5分や10分であっても、パス練習をひとつもミスらないよう真剣にやったり。俺たちと一緒に走ったり。そういう選手が増えてきた。あとはそれを毎日できるのか。どんな小さなことでも毎日続けるのって、できそうで簡単にできることではないから。
それを1年やり続けることができれば、もっと上のカテゴリーでプレーするところを見てみたいと思う選手も何人かいる。そういう選手たちの助けになりたいし、自分が何かのキッカケを与えることができれば良いなと思っている」
とはいえ、プレーヤーであることを忘れてはいない。古傷の左ヒザに腫れが出て、リーグの開幕には間に合わなかったものの、移籍後初出場となった4月29日の横浜猛蹴戦、66分からピッチに立つと、上田悠起のFKをヘディングで合わせ、いきなり同点ゴールを決めるのだから、さすがと言うしかない。
元Jリーガーが並ぶ対戦相手に……。
5月19日、東京23FCはホーム江戸川区陸上競技場に、開幕5連勝中の栃木ウーヴァを迎えていた。JFLからの降格を経験した栃木ウーヴァは体制を一新。スタッフには岸野靖之、松田岳夫といった元ヴェルディ組が在籍、ピッチ上には「デカモリシ」こと森島康仁をはじめ、高地系治、野崎陽介、井澤惇といったJリーグ経験者が並んでいた。
そのなかには、甲府時代に土屋と3バックを組み「4年半のほぼ毎日、2000回くらい一緒にメシを食いに行った仲」だという津田琢磨の顔もあった。
この試合、最初に観客を沸かせたのは土屋だ。相手FWがドリブルを仕掛けてきたところを、クリーンかつ鮮やかにボールを奪い取る。まさにシャットアウトだった。
「あの場面は相手を左に行かせるようなコースの切り方をして。その空けた左のコースにドリブルして来るように、自分主導で相手を動かしていた。もう俺のペースに相手はハマっていたから。そこまで誘い込んでしまえば、あとは相手の身体のバランスを見て、ボールが足から離れる瞬間を狙っていた」