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スポーツ界への投資ブーム第2波。
楽天、SB、DeNAの頃と何が違う?
posted2018/06/06 11:00
text by
並木裕太Yuta Namiki
photograph by
Getty Images
10億円
(ライザップから湘南ベルマーレへの初期投資額)
今年4月、パーソナルトレーニングジムを全国展開するライザップが、湘南ベルマーレの経営権を取得することを発表しました。
このニュースに触れて、いま1つの波が起きていることをあらためて感じました。それは「新興企業によるプロスポーツ参入」の波です。
今年1月にはミクシィが、FC東京との間で複数年のスポンサー契約を締結。さらに4月、同クラブへの出資も決め、スポーツ事業推進の動きを鮮明化させています。
また2017年3月、経営難に陥っていたV・ファーレン長崎(当時J2)の完全子会社化に乗り出したのが、テレビ通販でおなじみのジャパネットホールディングスでした。ジャパネット創業者である高田明氏が社長に就任した長崎は快進撃を見せ、初のJ1昇格を勝ち取りました。
こうした動きにライザップが続いたことで、新興企業がスポーツ、特にJリーグに参入する流れが顕著になってきたと思わずにはいられないのです。
経営者がスポーツに手を伸ばす理由。
現在の波は“第2波”と呼ぶべきでしょう。“第1波”は15年近く前、プロ野球を舞台に起こりました。
2004年、球界再編を機に楽天の新規参入が認められ、続いてソフトバンクがダイエーからホークスを買収しました。DeNAがベイスターズの経営権を取得したのは2011年オフのことです。時期としては間隔が空いていますが、楽天やソフトバンクに連なる流れと見てよいでしょう。
当時の経営者たちはなぜ、スポーツ界に手を伸ばそうと考えたのか。
1つには合理的に、投資に見合うだけの効果を得られると考えたからだと思います。プロ野球の人気や興行規模などから、チームを保有することで得られる広告効果だけでも十分に有意義だと判断したのでしょう。
加えて、“サイキック・バリュー(心理的な価値)”も経営者のモチベーションになったと想像します。ひとかどの経営者として、プロ野球チームのオーナーになれるものならなってみたい――。そうした欲求は、経営者たちの判断に多少なりとも影響を与えたと思います。