スポーツ百珍BACK NUMBER
Jサポの間で毎週バズる漫画家って?
「怒られたらやめますけど(笑)」
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byJunsei Chida
posted2018/06/05 10:30
漫画家・千田純生さんが「J1序盤戦、印象に残った3つの出来事」を特別に書き下ろしてくれたぞ!
3時間くらいあれば1枚仕上げちゃう。
――なるほど。千田さんの絵柄を見ていて1つ思うことがあるんですが、マリノスサポーターでありながらJリーグ全体が好きなのかな、と。
「その通りなんです! もちろんマリノスと試合をする相手には『ぜってー負けねーからな!』ってなるんですが(笑)。たとえばACLなら同じ日本のクラブとしてマリノスと同じくらい応援する気が起きますし、『何が何でもマリノス以外は許さん!』ってわけじゃないですよ。
何よりJリーグを取り巻く、全体的な雰囲気が好きなんです。なんというか……代表や海外だけじゃなくて、面白い人たちが数多くいるJリーグに注目が集まってほしいなあと思って描いているんです」
――Jリーグを観る独特の楽しさって、ありますよね。
「はい。毎週のようにスタジアムで見ている選手の物語に、興味をそそられるんでしょうね。ちなみに僕はマリノス以外の情報をあまり追えてないんですが、ツイッターを見ていると、各クラブのサポーターが情報を発信しているんです。すると『ああ、今このクラブだとこういう点に注目しているんだ』というのが見えてきます。そういう視点を、僕が描くイラストに反映しているんです。僕が描きたいことだけじゃなくて、ユーザー目線も考えて描いています」
――イラストを配信するスピードの速さにも驚かされています。
「それは意識しているところで、3時間くらいで1枚仕上げるイメージです。アイデアを思いついた瞬間、『おおっ!』とテンションが上がって取り掛かります。それは他の仕事で締め切りがあっても『編集担当の人、ごめんなさい』って投げ出しちゃう勢いで……え、このコメント使っていいか? 大丈夫ですよ(笑)。とにかく僕の中でツイッターは“いかに素早く反応して形にできるか”だと思っていて、おもしろニュースがあった瞬間、描きたくなっちゃうんです」
――編集サイドとしては『お、おう……』となりそうですが(笑)、ツイッターでの反応が漫画家さんとしての評価につながりそうです。
「何より、思いついたらソワソワしちゃうんですよ(笑)。正直ツイッターで絵を描くのは楽しいんです、仕事じゃない部分もあるし。ただこう続けていると、サッカー関係の仕事に携わっているフォロワーさんもいます。その方から正式なイラストのお仕事をもらうことも増えてきましたよ」
――お仕事を含めて、ファンがどんどんついているのはいいことですもんね。
「このイラストを描いていて気付いたのは、Jリーグサポの方々って、みんないい人なんです。それがマリノスだけじゃなく色んなクラブに愛着を持つようになったきっかけかもしれません。
昨年はACLで浦和戦の告知イラストを描いたりしたら、浦和サポーターに『ありがとうございます!』って感謝されました。サポーターに対して怖いイメージを持ってる方もいるかもしれませんけど、試合中に多少熱くなっちゃうだけで、『Jリーグはとっても平和ですよ』と声を大にして言いたいです(笑)」