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高校、大学の先輩、山川穂高も驚き。
西武・多和田真三郎が絶好調な理由。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2018/06/01 11:15
山川穂高(右)とともに月間MVPを獲得した多和田真三郎。沖縄生まれの2人がライオンズ躍進を支えている。
山川が思い出す大学1年生の姿。
これまで登板間隔である中6日のうち、2日間、ブルペン入りしていた調整方法を1日に減らした。「それほど変わらない気もする」と本人は飄々と言うが、気分転換が功を奏したのか5月19日にはオリックス戦で7勝目を挙げる。
「前回の試合で早いイニングに降板してしまったので、今日は1人でも多く投げたいと思っていました」(多和田)
菊池雄星が故障で離脱している苦しい先発投手陣にあって、ローテーションを守り、連敗をしない多和田がチームにとっては大きな存在となっている。
同じ中部商高校、富士大学出身で多和田をよく知る山川は言う。
「ここまで勝ってきているし、いいピッチングをしていると思います。でも僕としては、もっと行けるんじゃないかって思うところもあるんですよ。多和田が大学1年生のときに、ノーヒットノーランをした試合を見ているので、あのときの姿が頭にあるんですよね」
「打者にとっては恐怖感がある投手」
多和田は富士大1年生の2012年、明治神宮野球大会の1回戦で史上4人目となるノーヒットノーランを記録している。当時、3年生だった山川は神宮大会での多和田をこう表現した。
「打者を圧倒するような雰囲気で投げていました。もう“圧巻”という言葉しか出てこないピッチングでした。相手が大学生というのもあるかもしれないけれど、でも、僕はあのピッチングをプロでもできるんじゃないかって思います」
シュート回転で、うなるように打者に向かっていくストレートに山川は見入ったと振り返る。紅白戦などで対戦するときも「リリースポイントが打者に近くて、マウンドから迫ってくる」と驚愕した。
「踏み込んで振ろうとすると胸元にシュートしてきて、うわって避けたこともありました。打者にとっては恐怖感があるピッチャー。あれだけ腕がしなって、あれだけ低いところから浮き上がってくるボールは他に見たことがありません。だからこそ、もっと行けるんじゃないかって思うんですよね。今は低めにコントロールして、丁寧に投げようという意識が見えますから」