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政治、音楽、そしてサッカーが融合!
世界一特別なクラブ、リバプールの謎。
text by
フィリップ・オクレールPhilippe Auclair
photograph byAlexis Reau/L'Equipe
posted2018/05/24 11:20
過去には乱暴なファンも多かったリバプールだが、現在はほとんどいなくなり、安心して観戦できるようになったそう。
世界中に「リバプールファン」になりたい人がいる。
経済面でも文化的遺産と同様に、そうしたクラブへの帰属意識は2018年の今日においても最も力強いメッセージとなっている。
ファンをクラブに結びつけている「忠誠心」と、中立な人々に抱かせる「親近感」は、この25年間で2005年のチャンピオンズリーグ優勝以外に誇るべき成果のないリバプールにとって、他のクラブと比べて決して高いとはいえない成績や結果以上に有効な切り札であり続けてきた。
現体制もそれはよくわかっている。
たとえばそれは昨年の年間シートの料金に反映されている。
アンフィールドでのホームゲームでは、他のスタジアムと同様に無数の旗が並べられる。ただ、他のスタジアムでの同じ光景が多少なりとも人為的であるのに対し、アンフィールドを訪れる人々は単に試合を観戦しに来るのではなく、自分たちが“リバプール”であることを確認するために来ているのである。恐らくはいつの日か、“リバプールであること”を理解したいがために――。