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ヴィクトリアマイル制した好騎乗。
瞬発力を引き出した幸のコース取り。
posted2018/05/14 11:15
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
良血牝馬が鞍上の好リードに導かれ、雨中の瞬発力勝負で頂点に立った。
古馬のマイル女王を決める第13回ヴィクトリアマイル(5月13日、東京芝1600m、4歳以上牝馬GI)を制したのは、幸英明が騎乗した8番人気のジュールポレール(5歳、父ディープインパクト、栗東・西園正都厩舎)だった。
勝ちタイムは1分32秒3。ハナ差の2着は1番人気のリスグラシュー、3着は7番人気のレッドアヴァンセだった。
最後の直線、ラスト400m地点で、NHKマイルカップ優勝馬アエロリットが先頭に並びかけた。それを外からレッドアヴァンセがかわし、ラスト200mを切ったところで独走態勢に入るかに見えた。
しかしその外からジュールポレールが伸びてきて、さらに外からリスグラシューが猛然と追い込んでくる。
内のレッドアヴァンセか、中のジュールポレールか、外のリスグラシューか。僅かに前に出たジュールポレールに、リスグラシューが並びかけたところがゴールだった。
ゴール通過後、リスグラシューの武豊が馬上から「どっちだ?」と訊いた。ジュールポレールの幸は「わかりません」と答えた。
ウイニングランとして、芝コースを戻ってきたのはジュールポレールだった。向正面でJRAの職員が、幸に勝っていることを伝えたのだという。
リスグラシューは外枠が響いたか。
「最後はいい脚を使うことがわかっていたので、いつでも前をかわせる位置をとりたいと思っていました。直線では後ろを警戒していたのですが、前の馬もしぶとかったので必死でした」
前半800mが46秒8、後半800mが45秒5。ラスト3ハロンの全体のタイムが34秒0という瞬発力勝負になった。道中8番手につけたジュールポレールは33秒3の末脚で前を差し切り、リスグラシューの猛追をしのぎ切った。
メンバー最速の上がりを使ったのはリスグラシューだった。ラスト3ハロン32秒9という凄まじい瞬発力を発揮して追い込んだが、わずかに及ばなかった。これで4度目のGI2着。16番という外枠からの発走だったため、前のポジションをとりに行けなかったことが痛かった。