沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
ヴィクトリアマイルは騎手の腕が肝。
3週間ぶりにGIに復帰する武豊は?
posted2018/05/12 09:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
騎乗停止で休んでいた2週間(JRA開催4日間)で、クリンチャーが天皇賞・春3着、ケイアイノーテックがNHKマイルカップ優勝と、自分が手綱をとる予定だった馬がいい結果を残した。
武豊にとって、1年9カ月ぶりの騎乗停止は痛かった。
その悔しさを、今週の第13回ヴィクトリアマイル(5月13日、東京芝1600m、4歳以上牝馬GI)で晴らすことができるか。
騎乗するのは、GIで2着が3回ある実力馬リスグラシュー(4歳、父ハーツクライ、栗東・矢作芳人厩舎)だ。
ヴィクトリアマイルは「結果が出ているコースと距離なので、GIで一番チャンスがあると思う」と武は話している。
一昨年10月、自身が手綱をとったデビュー3戦目のアルテミスステークス、そして今年2月の東京新聞杯と、東京芝1600mでは2戦2勝。特に2016年の2歳王者サトノアレスら、牡馬の強豪を一蹴した東京新聞杯の内容がよかった。
前走の阪神牝馬ステークスは、スローな流れが合わず3着に敗れたが、矢作調教師が「自分の競馬をして最後まで伸びた。ここへの布石という意味ではいいレースでした」と話しているように、本番への試走としては収穫のある一戦だった。
1週前は猛時計、今週は軽めで調整。
阪神ジュベナイルフィリーズで2着となり、昨年の牝馬三冠では桜花賞2着、オークス5着、秋華賞2着と、惜しい競馬がつづいた。
「去年の今ごろより力強くなったし、馬込みに入ると体を硬くするようなところもなくなった」と武が感じているのは、優れたハーツクライ産駒ならではの成長力ゆえか。
武が騎乗した1週前追い切りでは、栗東坂路で49秒9という「猛時計」を叩き出したが、今週の本追い切りは、輸送を考慮して54秒4と軽めになった。牝馬は「鍛える」こと以上に、心身ともに余裕をもって調整し、カリカリして消耗しないようにすることが大切になる。その意味でも、陣営が望んでいたとおりの仕上げができているようだ。