相撲春秋BACK NUMBER
“怪我”を乗り越えた新三役・遠藤。
「忍んだ先」に笑顔はあるか?
text by
佐藤祥子Shoko Sato
photograph byTamon Matsuzono
posted2018/05/12 11:00
その佇まいに風格が出てきた遠藤。さらなる躍進の先で、ふたたびの笑顔が見られることを多くのファンが願っている。
「遠藤関にとって相撲とは?」の質問に……。
出し投げやまわしの切り方、土俵際での体のかわし方など、その技の巧さにはすでに定評がある。
圧力をつけるための体重も徐々に増やし、体は厚みをおびてきた。寡黙なアスリートの「心技体」――。心は、ケガで苦しんだこの3年間、まさに心の内で泥まみれになり、頑ななまでに強化されてきた。
振り返れば、明るい未来が待っているかに思えた新入幕の頃のこと。「遠藤関にとって相撲とは?」との質問に、しばし悩み、こう答えた笑顔の遠藤を思い出す。
「う~ん、難しいですねぇ。子どもの頃からずっと(相撲を)やってきたという意味で、『生きてきた証』と言えばいいのかな」
生きることに必死。忍んだ先に――。
今もこれからも、遠藤は笑顔を封印し、ひたすらに「生きてきた証」を追い求めていくのだろう。