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小川雄勢が世界選手権行き決めた!
“小川直也の息子”の殻を破れるか?
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byNaoki Morita/AFLO SPORT
posted2018/05/06 09:00
全日本柔道選手権、準決勝での小川雄勢(左)と王子谷剛志。各種大会を制覇してきた雄勢も全日本だけは別だったか。
「去年の自分よりは進歩していると思う」
過去王子谷には3戦3勝と相性はいいと思われていたが、余裕で勝ったことは一度もないと語気を強めた。
「本当に紙一重の差で勝ってきたので、今回も慢心とかはなかったと思います。でも、もしかしたら油断があって、序盤でとられる展開を作ってしまったのかもしれない」
小川は今大会に出場するテーマとして「昨年の自分を超えることができるか」を挙げていた。
その話を振ると、3回戦で昨年辛酸を嘗めさせられた垣田恭兵(旭化成)に雪辱した結果を受け、「去年の自分よりは進歩していると思う」と答えた。
と同時に「この大会で優勝するまでの力は足りなかったということでしょう」と反省することも忘れなかったが、小川の闘いぶりを評価する声は少なくない。ちびっこ時代から彼の試合を見続けているベテラン記者は驚きの声をあげた。
「王子谷に技ありをとられてからの反撃はすごかった。こんな積極的な小川を見たのは初めて。これで一皮剥けたと思う」
いよいよ初めての世界選手権へ!
直也氏は2020年の東京オリンピックを考えれば、いいきっかけを掴めたと思うと捉えている。
「雄勢はまだ発展途上。できあがった選手とは違う。これからさらに大きくなる。今回の負けで全日本の怖さをよくわかったでしょう。この怖さを乗り越えたら、さらに強くなりますよ」
全日本の怖さを肌で感じながら、小川は初めて世界選手権への切符を掴んだ。
もう小川直也の息子という肩書はいらない。
日本重量級の切り札として羽ばたけるか。喜ぶのは、9月にアゼルバイジャンで行われる同選手権のあとでいい。