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小川雄勢が世界選手権行き決めた!
“小川直也の息子”の殻を破れるか?
posted2018/05/06 09:00
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph by
Naoki Morita/AFLO SPORT
喜ぶべきか。それとも悔しがるべきか。
4月29日、日本武道館で行われた「全日本柔道選手権」は、小川雄勢(明治大)を複雑な心境にさせる大会だったに違いない。
それはそうだろう。優勝を期待されながら結果は3位。しかしながら大会後にマスコミに公開される形で開催された強化委員会で、小川は今大会で3年ぶり2度目の優勝を果たした原沢久喜とともに世界選手権の男子100kg超級代表に選出されたのだから。
準決勝で小川から勝利を奪った王子谷剛志ではなく、なぜ小川が選出されたかと首を傾げる方もいるだろう。
ただ、冷静に振り返ってみれば、小川の選出は納得がいく。
昨年11月の講道館杯全日本体重別選手権、昨年12月のグランドスラム東京大会、そして今年5月の全日本選抜体重別選手権と国内外3大会を制した実績がものをいったのだ。
なぜ小川が世界選手権代表に相応しいか。
グランドスラムでは決勝でリオデジャネイロオリンピック100kg級金メダリストのルカシュ・クルバレク(チェコ)と対戦。ゴールデンスコア(時間無制限の延長戦)にもつれ込む持久戦を繰り広げたが、最後は最大の武器であるスタミナを活かして金メダリストを失速させ価値ある勝利を奪った。
全日本の3週間前に開催された全日本選抜体重別では準決勝で王子谷を、決勝で原沢をいずれも反則勝ちで撃破している。最近の活躍を総合すれば、小川の代表入りは妥当といえるのではないか。
その一方で、史上初の親子による全日本制覇はお預けになってしまった。
父・直也氏が初めて全日本を制したのは現在の小川と同じ大学4年の時だ。その後も優勝を続け、合計7回も全日本の頂きに立っている。