格闘技PRESSBACK NUMBER
小川雄勢が世界選手権行き決めた!
“小川直也の息子”の殻を破れるか?
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byNaoki Morita/AFLO SPORT
posted2018/05/06 09:00
全日本柔道選手権、準決勝での小川雄勢(左)と王子谷剛志。各種大会を制覇してきた雄勢も全日本だけは別だったか。
小川直也「この大変さはやった者でないとわからない」
準決勝で敗れた直後、直也氏は息子の心情を慮った。
「全日本は力があるから獲れるというわけではない。4月は体重別、(無差別の)全日本と1カ月のうちに2回も日本一を狙わないといけない。つまり1回優勝しても、もう一度気持ちを入れ直さないといけない。この大変さは本当にやった者でないとわからない」
小川の全日本出場は3年連続3回目。直也氏はいつでも優勝できる力はもっていると太鼓判を押した。
「現に体重別では優勝している。今日はたまたま(王子谷に)うまくやられてしまった。(技ありをとられてから)相手は向かってくるのではなく防戦一方だったでしょう?」
直也氏は、全日本特有の雰囲気にやられたとも考えている。
独特のオーラがある全日本柔道選手権。
全日本は1948年以降、毎年開催(1956年を除く)されている由緒ある大会だ。この大会をオリンピック、世界選手権とともに三冠のひとつと考える選手や関係者が多いという話も頷ける。
柔よく剛を制すを具現化しようと、今大会にはリオ五輪60kg級銅メダリストの高藤直寿と2017年世界選手権73kg級優勝の橋本壮市の挑戦が話題を呼んだ。
残念ながら両者とも初戦で姿を消したが、「試合前はガチガチに緊張した」と声を揃えた。それだけ独特のオーラが全日本には漂っているのか。
小川は、王子谷に奪われた技ありについて言葉少なに語った。
「自分の技に入る時に入りきることができなくて、戻ったところで足払いを狙われてしまった」