燕番記者の取材メモBACK NUMBER
由規「泣いていないですよ」
笑顔で復活勝利を刻んだ“元”剛腕。
text by
浜本卓也(日刊スポーツ)Takuya Hamamoto
photograph byKyodo News
posted2018/05/05 11:30
由規の復活は、多くのファンの涙を誘った。しかし野球人生はまだまだ続いていくのだ。
「泣いていないですよ」と嬉しそうに。
「次が本当に大事。次が勝負です。続けないといけない」
次回登板は5月3日、中日戦の予定。この原稿はその2日前、5月1日に書いている。書き始める直前に、由規に聞いておきたいことがあった。初勝利後に涙はなかったが、お立ち台でのスタイルも変更したのか――。
「涙が出なかった理由? いやあ、何でなんですかね。見ていた人には『泣いていたんじゃないの』って言われたんですけど、泣いていないですよ」と、うれしそうに首を振った。
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次、勝ったらうれし涙は出るのか。「うーん、どうでしょうね。泣くかなあ」とさらに目尻を下げて言った。
この原稿が掲載されるころには、試合の結果が出ていることだろう。由規に待っているのは、希望に満ちた未来へと続く道か、それとも厳しい現実か。いずれにせよ、由規の完全復活へ続く物語は、まだ新しい章に突入したばかり。
しかも、まだ新緑が芽生える5月。美しい歓喜の涙は、木々の葉が色づく季節までに流れるものだと思っている。