野球クロスロードBACK NUMBER
高橋由伸監督と巨人は勝利に飢える。
「奮輝」に込めた3年目のリベンジ。
posted2018/05/06 08:00
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Kyodo News
3・4月の巨人は、まるで、ジェットコースターのような戦いが続いた。
開幕戦をエースの菅野智之で落とし、幸先の悪いスタートを切ったかと思えば、開幕第2戦から3連勝。息を吹き返したかと期待すれば、4月6日から6連敗を喫し、6年ぶりの単独最下位とトンネルの中をさまよった。そんなチームが、20日から8連勝と一気に2位まで浮上したのである。
戦いの足跡をたどれば不安定さは拭えない。なにせ、昨年は11年ぶりのBクラスと低迷したチームだし、シーズンもまだ序盤。ファンからすれば安心できないのは当然だろう。
それでも、今年の巨人には「ただでは転ばない」といった気概が感じられる。63年ぶりの20得点を記録した25日の中日戦、4点差を跳ね返した29日のヤクルト戦、連勝がストップした5月1日の首位・広島との試合でも、3点差の9回に代打・阿部慎之助のタイムリーで意地を見せた。
「もう1回、みんなで奮い立とう」
粘り。貪欲。今年の巨人には、勝利に対する飢餓感がにじみ出ている。
「やはり、チームとして勝てていない……3年間、勝てていませんから。『もう1回、みんなで奮い立とう』という思いはあります」
高橋由伸監督の言葉が蘇る。そんな指揮官の想いは、『奮輝』というチームスローガンとなって表現されている。
本来ならば「奮起」と書く。「起」を「輝」と転換させた意図について、高橋監督はこのように説明していた。
「先輩たちが築き上げてくださった輝かしい歴史があるので、『チームとして輝きを取り戻そう』という意味も込めています」