ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
宮里優作は世界のどこでも楽しそう。
米軍をヒッチハイクした小学生時代。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byYoichi Katsuragawa
posted2018/05/04 08:00
宮里優作の人間性を悪く言う人はいない。だからこそ、ゆっくりとでも今の場所までたどり着いたのだろう。
「ずっと“住所不定”だね」
そんな環境だったからこそ、対人関係の許容範囲は自然と広くなった。そして外国への興味も湧いた。
「いつの間にか順応していくんだよ。それに島だから、外に出ていろんなことを知りたいというのもあるんだと思う」
思えば、沖縄を出てから高校時代を大阪で、大学時代は仙台で過ごした。数年前からは愛知出身の夫人と名古屋に拠点を構えている。
「ずっと“住所不定”だね。兄貴(宮里聖志)もそう」
働く場所が毎週違うゴルフの仕事は、やっぱり天職かもしれない。
ゴルフ場で彼の姿を見かけたら、眺めてほしい光景がある。
ファンにサインをねだられた時、下を向いたまま黙々とペンを走らせる選手が多い中、宮里はひとつ記すごとに、視線を上げて相手の顔を見る。サインをもらった方は照れも、恐縮する気持ちもあって顔を上げられず、目が合うことは少ないのだが、彼は「なんかその方がいいかなって。ずっとそうしてきた」。
初対面の相手であっても、礼をもって接する人柄。それが外国人であっても自ら壁を作ることはない。「今年は何カ国行くのかなあ」。その度にまた、いろんな人に出会う。育ってきた環境と、プロゴルファーとしての生き様がいよいよリンクしてきた今日この頃だ。
「志ひとつで違うところに行ける」
マスターズ翌週のスペインオープンでのこと。東北福祉大OBの先輩である谷原秀人とマドリードで一緒に夕食をとった。大学時代、ふたりはある対抗戦の代表選手として当地に派遣されたことがあった。
「あれから17年経って、またマドリードで飯食ってるよ」。スペイン料理をつつきながら、そう笑いあったという。
「思い続けてきてよかった。場所は変わっても、志ひとつで違うところに行けるというのは、長くやってきて分かったこと」
成熟して迎えた世界転戦は始まったばかり。1年後の今ごろ、彼はどこにいるだろうか。
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