ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
宮里優作は世界のどこでも楽しそう。
米軍をヒッチハイクした小学生時代。
posted2018/05/04 08:00
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph by
Yoichi Katsuragawa
時差ボケまじりの眠たそうな視線は、サングラス越しでも分かった。
「日本に帰ったきのうの夜はウナギ食べたんだけど……。夕飯だか朝飯だか、いったいどっちを食べているんだか分かんなくて」
4月末、宮里優作は愛知県で行われた中日クラウンズにディフェンディングチャンピオンとして出場した。前年の日本ツアー賞金王にとってはこの試合が、2018年の国内で初戦だった。
前週までいたのはアフリカ大陸の北西岸モロッコ。帰国したのは大会のわずか2日前だった。
今年1月、米国ハワイでスタートさせたシーズンはシンガポール、ミャンマー、マレーシア、オーストラリア、メキシコと続き、再び米国へ。ゴルフの祭典・マスターズに初出場を果たし、母国に戻る前に欧州ツアー2試合に出場した。
バッグが届かず、言葉が通じず。
憧れのオーガスタナショナルGCでの戦いを終えてスペインオープンへ向かった際、荷物が届かないトラブルがあった。
「アメリカからの直行便だったのに……」
商売道具が入ったキャディバッグが手元に来たのは開幕前日のこと。モロッコでのハッサンIIトロフィに出場してから日本に戻る時には、経由便にしていたエールフランスでストライキが勃発し、あやうく帰国が遅れるところだった。
「やっぱり日本は便利。キャディバッグが届かないこともないでしょう。ヨーロッパでは(国ごとに)風土も変わるのでそれに合わせていかないといけない。モロッコでは英語ではなく、フランス語しか通じなかった。コミュニケーションがとれないことも多い中で、自分のリズムを作らなくてはいけない」
宮里は現在、欧州ツアーのメンバーではあるが、依然として来季のシードを獲るべくスポット参戦を続けている身。毎週更新される世界ランキングによっても、出場資格が浮かんだり消えたりする。
「転戦しながら調子を作っていくタイプなので、なかなか難しい」
それでも今、その焼けた肌は戸惑いよりも活力に満ちている。安住には程遠い生活ぶりを「意外と水があっているような気がした」と充実感たっぷりに言うのだった。