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メジャーとステーキと赤ワイン。
衣笠祥雄さんの深い野球愛に触れて。 

text by

笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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photograph byKyodo News

posted2018/04/27 10:30

メジャーとステーキと赤ワイン。衣笠祥雄さんの深い野球愛に触れて。<Number Web> photograph by Kyodo News

1987年6月、2131試合となる連続試合出場世界新達成で、ファンに手を振る衣笠祥雄。

「野茂くんの勇気はすごいですよ」

 メジャーリーグが大好きで、ステーキと赤ワインが大好きで、'95年に野茂英雄がメジャー移籍を果たして以降は、米国でよく一緒に仕事をさせていただいた。

 衣笠さんは道無き道を切り開いた野茂の挑戦に敬意を表し、自分と重ね合わせていた。

「野茂くんの勇気はすごいですよ。僕もやりたかったけど、僕にはメジャーでプレーすること自体が想像出来ませんでしたからね。

 誰もやった人がいない時代にアメリカに行って1人で挑戦する。これは、誰にも真似出来ないことだと思います。だから先駆者って言うのは凄いんでしょうね」

 衣笠さんの父は米国人。

 言葉の間にはたくさんの思いが隠れていると感じた。

衣笠さんの姿勢は一貫して変わらなかった。

 よく思うことがある。現役を終えた選手が解説者の道を歩み出すと、最初の数年は選手へのリスペクトを失わず、状況にかかわらず、選手の心理状態を説明しながら、プレーの難しさを表現する。

 ところが、こちら側の生活が長くなると、いつの日からか、上から目線へと変わり、自分が苦労して来た事実を忘れてしまう。

 自身で気付かぬこの変わり身は、取材を受ける選手が一番敏感に感じ取るものである。

 だが、衣笠さんの姿勢は一貫して変わらなかった。常に選手の置かれた立場を考え、状況を把握し、選手目線を忘れない。

 それは野球に携わる関係者にも同じだった。野球を愛し、選手を尊敬し、それぞれの立場を理解した上で言葉を発する。それが衣笠祥雄さんだった。

【次ページ】 「夢を追いかけるって、いいですよね」

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