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菊池涼介以上の守備範囲だからこそ。
巨人・吉川尚輝が鍛える「球ぎわ」。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byKyodo News

posted2018/04/27 15:00

菊池涼介以上の守備範囲だからこそ。巨人・吉川尚輝が鍛える「球ぎわ」。<Number Web> photograph by Kyodo News

吉川尚輝(中央)の守備範囲は菊池涼介級との評判も立っている。一番大事なのはアウトを奪えるかどうかだ。

「追いついてからが課題」とは?

 だが、井端コーチはあっさりと首を振るのである。

「吉川は追いつくけど、追いついてからがいまの最大の課題なんですよ」

 井端コーチの説明はこうだった。

「吉川は二塁に打球が飛んで、そのボールに追いつくスピードだけなら12球団で一番速いと思います。そこのスピードが守備範囲の広さにつながっている。ただ打球に追いつくスピードが100だとすると、そのままの勢いでグラブを出してしまう。

 だからせっかく打球に追いついても、ファンブルしたり後ろにそらしたりするケースが出てくる。ゴロを捕って、走者を正確にアウトにするということではやっぱりまだまだ菊池には及ばないですね」

 内野手の守備で大事なこととは、いかに速くボールに追いつき、いかに遅く、柔らかくグラブを出せるか。

 まさにそれは「球ぎわ」の強さをいかに養えるかということではないだろうか。

井端コーチから叩き込まれた守備の基礎。

 中京学院大時代は選手の自主性を重んじて練習時間も2時間程度だったという。

「やるかやらないかは自分次第。自分で考える時間が多かったし、もちろんそれがいいところもあったと思います」

 吉川は言う。ただその反面、これまできちっと守備の基礎を教えてもらったこともなく、昨年5月に一軍に昇格したときに、井端コーチから基礎を叩き込まれて、意識が高まった。

「井端コーチに言われたことを実践して、『その通りだな』となることが多いですね」

 白い紙にインクが落ちたように、吉川の天性の才能が大きく広がるきっかけだったのだ。

【次ページ】 川上監督が説く「球ぎわの強さ」の真理。

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