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菊池涼介以上の守備範囲だからこそ。
巨人・吉川尚輝が鍛える「球ぎわ」。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byKyodo News

posted2018/04/27 15:00

菊池涼介以上の守備範囲だからこそ。巨人・吉川尚輝が鍛える「球ぎわ」。<Number Web> photograph by Kyodo News

吉川尚輝(中央)の守備範囲は菊池涼介級との評判も立っている。一番大事なのはアウトを奪えるかどうかだ。

「守備範囲だけなら菊池より広いかも」

 その選手とは2年目の吉川尚輝内野手であり、そのとき井端コーチから出てきた話が、この「球ぎわ」の強さに通じる話だったのである。

「彼の最大の持ち味はスピード。守備範囲だけなら広島の菊池より広いかもしれない」

 キャンプから二人三脚で二塁のレギュラー獲りに挑戦してきた愛弟子の守備を、井端コーチはこう評する。秘蔵っ子だけに、昨年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で世界を驚かせた忍者・菊池涼介を上回る評価とは驚くばかりだが、確かに吉川の守備には今季、何度も唸らされる場面があった。

 鮮烈だったのは4月21日の甲子園球場での守備だった。

 巨人が3点リードで迎えた4回。先発左腕の田口麗斗投手が2死満塁のピンチを招いた場面である。

 阪神の大山悠輔内野手が放った打球は一、二塁間を破ったかと思えた。しかしこの打球を吉川が外野の芝生の境目まで懸命に追って、半身のままグラブに収めた。そのまま反転して、ワンバウンドで一塁に送球して間一髪アウトとなり田口はピンチを脱したのである。

坂本との二遊間はアライバに迫る可能性。

「とにかく必死でした」

 試合後に吉川はこの場面をこう振り返った。

「守備位置はオーソドックス。2アウトで抜ければ2点入るので、打球が飛んできた瞬間に最悪でも止めようと思って反応しました」

 まさに井端コーチが指摘したように、ゴールデン・グラブ賞を5度も受賞した菊池をも超える守備範囲の広さを示したプレーだった。しかも今季はこの阪神戦だけではなく、吉川の守備がチームを救う場面が何度もあったのも事実なのだ。

 遊撃手の坂本勇人内野手とのコンビは、かつて中日時代に井端コーチが荒木雅博内野手と組んだ鉄壁の二遊間“アライバコンビ”にも迫る域を目指せるのではないか?

【次ページ】 「追いついてからが課題」とは?

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