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163キロの速球でも狙い打たれる!?
大谷翔平、貴重な世界一打線“初体験”。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byGetty Images
posted2018/04/25 18:15
ダルビッシュ有のフォーシームの平均回転数は2500を越えるという。大谷翔平はフォーシームはどこまで進化させられるか?
「そんなに力のない球だったんじゃないかなと」
この回先頭のゴンザレス外野手をフルカウントから歩かせて、続くフィッシャーへの初球だった。
「投げにいったところはそんなに悪くなかった」
こう振り返った外角の154キロのフォーシーム。あえて言えば高さがベルト付近でやや高かったことが命取りだったかもしれない。
「やっぱり(走者を)溜めたくないというところから、そんなに力のない球だったんじゃないかなと思っています。それで打たれたのかなと思っています」
センターバックスクリーン左に飛び込む特大弾。
確かに打球はよく飛んでいた。
フォーシームの質の問題が出てきたか?
この日のピッチング内容で1つ、見えてきたことがある。それはキャンプから指摘されてきたフォーシームの質の問題だった。
この日投げた98球でストレートは37球。その中で2回のブライアン・マッキャンの打席の3球目に初めて160キロを超えると、3回のジョシュ・レディックへの2球目には161キロ(100.6マイル)と、全部で6球の160キロ超えがあった。
特に5回に2ランを浴びて1点差とされての、なお2死一塁で4番のレディックに対するピッチングでは、カウント1ボール1ストライクからメジャー最速となる101マイル(163キロ)の速球を3、4球目に連発するなど、ボールが走っていなかったわけではない。むしろ過去3度の登板の中でもボールのキレは一番あった部類のマウンドだったのだ。
「点を与えたくなかったり、素晴らしいバッターが並んでいる中で、自分の持っているもの、それ以上のものを出したいという気持ちじゃないかと思う」
大谷は振り返った。だが、その一方で打たれた6本の安打のうち5本がこのフォーシームだったのである。