イチ流に触れてBACK NUMBER
“外野”の喧騒に欠けている視点。
GM・監督が語るイチロー効果とは?
posted2018/04/25 11:30
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
Getty Images
“外野”がうるさい状況が続いている。
同業を“外野”扱いするのはフェアではないと思うものの、過剰な反応、感情的な表現が多い。
なんのことかと言えば、シアトルの地元紙『シアトル・タイムズ』のイチローに関する報道である。
4月22日。マリナーズは右広背筋を痛め、故障者リストに入っていた先発右腕エラスモ・ラミレスを復帰させた。それに伴いマイナーに降格したのは外野手のギジェルモ・エレディアだった。ここまで打率.310、出塁率と長打率を足したOPSは.968をマーク。強肩、好守の27歳の伸び盛りを3Aに送ったことで同紙は「マリナーズは何を考えているのか。非論理的だ」と痛烈に批判した。
何が非論理的なのか。
彼らは、エレディアをマイナーに送り、打率.250、OPS.539(4月23日現在)の44歳・イチローをロースターに留めたことを「非論理的」だと評しているのだ。
なぜ成績が上の選手をマイナーへ!?
確かに数字は、上記したとおり、全てエレディアが上だ。
正論とも言える。
だが、ここはメジャーリーグの世界である。契約書の力が物を言うことを忘れてはならない。
イチローをロースターから外すことは、彼をFAにすることになる。その一方で、エレディアはマイナー落ちしても球団に拘束権がある。
結果を残してきたエレディアには気の毒だが、メジャー時代の川崎宗則、青木宣親がどれだけの不遇を味わってきたことか。それと全く同じ話なのである。