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危険運転でフェルスタッペンに批判。
若きスターが王者に成長するために。
posted2018/04/22 07:00
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Masahiro Owari
「次の8コーナーなら少しはオーバーテイクのチャンスがあるかもしれないけど、彼が仕掛けてきた7コーナーは無理だ。というのも、あそこは非常に高速で、しかも長いコーナー。さらに彼がとったアウト側の走行ラインはかなり汚れている。いままで、あそこでアウト側からオーバーテイクしてきたトップドライバーは1人もいないと思う」
中国GPのレース後、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)とのバトルについて尋ねられたルイス・ハミルトン(メルセデス)はそう言って、フェルスタッペンのドライビングについて、疑問を呈した。
今年の中国GPはレッドブルのダニエル・リカルドが、セーフティーカー導入をうまく味方につけ、大逆転勝利を挙げた。セーフディーカー導入後もメルセデスとフェラーリのトップ2チームがコース上にとどまる中、レッドブルは2台そろってピットイン。硬いタイヤを履き続ける上位陣を、軟らかいタイヤで次々とオーバーテイクしていった。
歴史に残るオーバーテイクショー。
37周目にキミ・ライコネン(フェラーリ)、40周目にハミルトン、41周目にセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)、そして45周目にはトップのバルテリ・ボッタス(メルセデス)と、トップ2チームの4人をすべてコース上で抜いて優勝。
ドライコンディション下で行われた近年のF1で、ここまで鮮やかにオーバーテイクショーを連発して、逆転優勝したレースは記憶にない。
リカルドは昨年も、アゼルバイジャンGPで再スタート直後にニコ・ヒュルケンベルグ、ランス・ストロール、フェリペ・マッサの3台をまとめてオーバーテイク。F1公式サイトで行われたファンの投票によるオーバーテイク・ベスト10で堂々1位に輝き、2017年の最優秀オーバーテイクに選出されていた。