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バルサから3点差逆転勝ち。あの夜、
ローマが起こした本当の奇跡とは。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2018/04/18 07:00
チャンピオンズリーグ63年の歴史上で、バルセロナが第1戦で3点差をつけて、第2戦で逆転されたのは初めてのことだった。
オリンピコの記者席は誰もが涙していた。
ロシアW杯欧州予選で苦杯を舐めさせられたスペイン代表をバルセロナに重ね合わせる向きも当然あっただろう。
バルサ戦の終盤、オリンピコの記者席はタイムアップの前から全員が立ち上がり、試合終了の瞬間には誰もが仕事を忘れ、抱き合い、涙を流して、拳を振り上げて吠えていた。
イタリアで取材を始めて15年以上になるけれど、1クラブの試合でこんな光景を見たことがない。
あの晩見たのは、本当に奇跡のような試合だった。
リバプールは34年前の決勝の相手だった。
ローマの準決勝の相手は、リバプールに決まった。
34年前、チャンピオンズカップの決勝で敗れた因縁の相手だ。
ローマはプレミア王者チェルシーやアトレティコ・マドリーが居並ぶグループリーグを首位突破し、バルセロナを破って堂々のベスト4進出を果たした。彼らこそ今大会最大のダークホースだ。
ディフランチェスコ監督は野心を隠さない。OBとしてロマニスタたちの心情もよくわかっている。
「リバプールはかなりの強豪だが、根性とプライドで準決勝に挑む。ここまで来たら『なるようになる』なんて言うものか。キエフの決勝戦へ行きたい。もちろんだ」
ローマvs.リバプールは再び名勝負の予感に満ちている。