フランス・フットボール通信BACK NUMBER
ロベカルが最新セレソンを検証。
今と昔のチームの一番の違いは……。
text by
フレデリック・エルメルFrederic Hermel
photograph byFranck Faugere
posted2018/04/17 17:00
現役最後の所属チームはインド・スーパーリーグのデリー・ディナモス(選手兼任監督)。2015年シーズン終了後に現役引退した。
ブラジルのクラブから偉大な選手が生まれない!?
――ブラジルサッカーは、今も変わらずファンタジーを喚起しているのでしょうか?
「そこが以前と違うところだ。ブラジルのクラブが、かつてのような偉大な選手を生み出すことができなくなったときから問題が起こった。
僕らの時代には、毎年10数人の優れた選手がヨーロッパのクラブに移籍していった。バルサ行きが決まったアルトゥールや、レアルが獲得したビニシウスなど、今はせいぜい2~3人だ」
――あなたが主に語っているブラジル代表の選手というのは、あなたの時代の選手ですか、それとも今日の選手ですか?
「僕らの時代だ。僕らは歴史を作ってきた。世界チャンピオンになり、それぞれの試合でスペクタクルなプレーをした。
今のチームも高みに到達することはできると思うが、僕らのころとはクオリティが違う。雰囲気も自信も、僕らの間にあったものとは異なる。僕らは本当に素晴らしいグループだった」
昔と今のセレソンでは、どこが違うのか?
――あなたのころのチームと今のチームでは何が違うのでしょうか?
「一番大きな違いは経験だ。僕らはみな並はずれた経験を持ち仲も良かった。強い信頼関係で結ばれていた。
覚えているのはいつも試合の前に『今日は何点取って勝てるか』と仲間同士で話し合っていたことだ。リバウドやロナウド、ロナウジーニョ、カカ……。後にアドリアーノやロビーニョも加わった。豪華この上ないだろう。
今日の代表には大変な重圧がかかっている。僕らのころはずっとシンプルだった。ブラジル国民に喜びを与えること。ピッチの上で僕らが楽しくプレーをすれば、それがそのまま国民の喜びになった。僕らは20代後半の成熟した選手だったけど、子供のころの楽しさをずっと感じ続けながらプレーしていた。
今の代表選手の頭の中には、ドイツ戦の悪夢が根づいている。同じ失敗を繰り返すのではという恐れに囚われ、メディアもそのことを強調する。僕らの時代も選手に課せられた責任は重かったけど、2014年の悪夢の後でそれはさらに重くなった。選手も言い訳を考えなければならないわけだ」