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中邑真輔まさかの敗北&ヒール転向!!
大騒動になったWWEタイトル戦速報。
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph by(C)2018 WWE, Inc. All Rights Reserved.
posted2018/04/09 17:00
日本人初の快挙、ならず! ヒール転向した中邑真輔の本当の戦いは、ここから始まるのかもしれない。
名勝負の再現以上のものが求められていた。
しかし、当の中邑はこの2年間に100%満足しているわけではなかった。
主に日本のプロレスファンを相手に闘いを見せてきた新日本プロレス時代に対し、全米および全世界の人々をターゲットにしているWWEでは、求められるものや、観客の反応がおのずと違ってくる。
中邑にとってこの2年間は試行錯誤の連続であり、新日本時代に味わえたような、完全に観客の心を捉えたような感覚には、まだ至ってはいなかったのだろう。
「レッスルマニア34」2日前の共同インタビューでは、「いつも自分の中では『もっとできる、もっとできる』と思いながらやっていた。AJとは前回闘ってからこの2年間、お互いブラッシュアップしてきたので、何かを生み出さなきゃいけない」という覚悟を語っていた。
AJスタイルズという最高の相手と、レッスルマニアという最高の舞台で闘えるということは、最高の条件であるだけに、名勝負の再現以上のものが求められる。中邑にとってチャンスであると同時に、大きな賭けでもあったのだ。
苦しみながらも、勝利……のはずが。
そして迎えた「レッスルマニア34」でのWWEタイトル戦という大一番。
中邑は、自身のテーマ曲『The Rising Sun』が、ギターソロ、バイオリニスト20人、ドラム10台という前代未聞の大編成で生演奏され、その曲に合わせて8万人近い観衆が「オ~オ~オ~」と合唱する中、この日のために新調したコスチュームで、気持ちを滾らせながら入場。
そしてゴングが鳴ると、AJスタイルズとお互いが主導権を奪い合うような、緊張感あるシビアな“ストロングスタイル”の闘いを展開。
途中、ヒザ殺しに苦しみながらも、AJのフィニッシュ技であるフェノメナルフォアアームをカウント2で返すと、得意技ランドスライドを解禁し反撃。
エルボー合戦から、AJの後頭部をヒザで打ち抜き、リバースパワースラムから、とどめのキンシャサ・ニーストライク! しかし、これをかわされると、逆にスタイルズクラッシュをまともにくらってしまい逆転負け。
悲願のWWE王座奪取はならなかった。