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大阪桐蔭の二刀流・根尾昂に尋ねた。
「注目されること、どう思う?」
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byKyodo News
posted2018/04/07 11:30
センバツでは直球とキレのあるスライダーで打者を翻弄。ドラフト1位指名候補と目されている。
注目されることは「プラスが多いですね」。
2000年生まれ。「ミレニアム世代」と呼ばれる今年の高校生で、根尾ほど脚光を浴びる選手はいない。
中学時代、飛騨高山ボーイズで「最速146キロ右腕」として一躍注目され、高校球界の名門・大阪桐蔭に入学してからも1年夏からベンチ入り。昨年は投手、遊撃手、外野手の“三刀流”として観衆を沸かせ、センバツでは胴上げ投手となるなど春夏連続で甲子園に立った。そして、秋からは高校野球を取り上げる各媒体で、根尾の名が躍る。
――注目されることについて、自分ではどのように捉えているのか?
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センバツ期間中、そう尋ねてみると、根尾は考えるそぶりも見せずあっさりと答える。
「注目されていても、自分から全部は見えないんで。だからそういうのはあまり感じていませんし、プレッシャーもありません。注目されている分、むしろ試合では相手がわかりやすくなるというか。警戒されている分、バッターならボール球が多かったり、失投があったりしますし、ピッチャーならボール球で勝負できたり。プラスが多いですね」
相手が意識していることを逆手に。
センバツでの結果が物語るように、根尾の自己分析には納得させられる。
打者として24打席で5四球を選んでおり、失投を見逃さなかったからこそ、打率5割というハイアベレージを叩き出せた。
さらにセンバツでの根尾は、全9安打中6安打がセンターより逆方向だった。この結果についての根尾の見解はこうだ。
「インコースは見せ球が多いですし、ボール球ばかりなので、結果的に外のボールを打っているだけで。そのコースに対しても、しっかり踏み込んで打てているとは思います」
投手として完投した3回戦の明秀日立との試合では9四球を与えており、26回を投げ合計13四死球と、その数はイニングの半分を占めている。それでも、本人にとっては想定内での結果なのだろう。根尾はマウンドでの身上をこのように語っていた。
「ボール先行はしたくないですけど、ストライクを取りにいかずに、とは思っています。腕をしっかりと振って投げることをまず意識して。それができれば、相手にプレッシャーを与えるピッチングができるんで」