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日本一を知る西武・中村剛也の意地。
「本塁打狙い、変えるつもりはない」
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2018/04/06 10:30
今季開幕時点で1000打点まで残り31打点の中村。生え抜き初の1000打点なるか。
完全復活のためにバットを変えた。
その反省を踏まえ、今年のオフはスイングの中であえて右脚に負荷をかけるよう、幾度もバットを振り込んだ。すべては右脚を気にせずに、無心でプレーするためだ。「右ひざのことは気にせず、しっかり振れている手応えがあります」と、万全の体調でキャンプインし、こうして開幕を迎えている。
もうひとつ、完全復活のために中村はアクションを起こした。
バットを変えたのである。およそ、6年ぶりのことだ。
「去年、何か、しっくりこなかったんですよ。それまでと同じバットなのに、しっくりこない時期があった。他の選手のバットを何度か借りて振ってみるんだけど、それも合わなかった。それで、自分が6年前に使っていたグリップの細いタイプに変えたんです。普通の人が見ても気づかないくらいの変化ですけどね」
0.25ミリ細くして、ヘッドの走りを。
グリップエンドの縦幅に当たる部分の長さと、横幅の円周部分をそれぞれ0.25ミリずつ細くした。バットメーカーの担当者によれば「製造器具にバットを固定して、バイト(木を削る道具)で1周分、削るくらいのわずかな変化」だという。それでも、グリップが軽くなれば、おのずとヘッドに重心が行く。振ったときの感覚は変わる。
「バットのヘッドが返りづらいかな、と去年感じたんで。ちょっとだけ細くして、よりヘッドの走りをよくしようというのが目的です。キャンプとオープン戦で試して、感触がよければシーズン中もそれを使いますよ。でも、キャンプで打ち込んでバッティングの感覚を確認して、“結局、これまでのバットがいいな”ということになるかもしれません」
当初はそう語っていた中村だが、オープン戦で試した感触は良好だった。「引っ掛ける打球が少なくなった」と、新しいバットでシーズンの開幕を迎えることを決めた。