プロ野球亭日乗BACK NUMBER
高木京介は結果以外でも問われる。
巨人支配下復帰と松井秀喜の想い。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2018/03/30 11:00
2シーズンのブランクがあっても支配下復帰させた球団の期待に、高木京介は応えられるか。
歓迎する声ばかりではないからこそ。
罪は決して消えることはない。
今回の支配下登録や一軍復帰に対して、もちろん歓迎する声ばかりではないことは本人も承知しているはずである。その中で、そういう厳しい視線に反発するのではなく、少なくともそういう人々にも最終的には受け入れてもらえるように努力をすること。それは決してグラウンドの結果だけではないということなのだ。
ファンや関係者が見ているのは、マウンドから投げ込むボールや打者を打ち取る姿だけではない。どれだけ私生活も含めて、高木の言う「真摯な姿勢」を見せられるか。
そのことに尽きるのである。
「結果で恩返しをするということではない」
そういう姿を強く求めているのは、高木と同じ星稜高校出身で巨人の大先輩でもある松井秀喜さんだった。
松井さんは高木が1年間の失格処分が明けて巨人と再契約をしたときに、「本人が復帰を希望し、球団が戻した。彼も球団も相当な覚悟があったのだろう」と語り、高木には次のような言葉を送っている。
「復帰をみんなに納得してもらえることはまずない。ただ戻して良かったと思ってくれる人が少しでも増えるような姿勢を見せて欲しい。結果で恩返しをするということではない。そういう姿勢を示すことが大事だと思う」
野球がうまければ全てが許されるということではない、と松井さんは言うのだ。
練習態度や野球への取り組みという真摯さだけではない。私生活から普段の言動も含めてあらゆることで、自分を律する姿を示していくことが大事になる。
実質的には3年ぶりの球春到来。結果がすべての世界だが、結果だけがすべての世界ではない――高木京介にとっては、そういう覚悟を背負った開幕なのである。