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体操W杯で内村航平が予選落ち?
極端な不振の理由と“逆襲”の始まり。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byKyodo News
posted2018/03/28 11:30
W杯カタール・ドーハ大会で跳馬に臨む内村航平。恐怖心をいかにして克服するか。
監督もコーチも、実は心配していない!?
森泉コーチにも独自の見解があった。
「もしかすると、足首のせいで(身体全体の)バランスが崩れているのかもしれない」というのだ。
とはいえ、水鳥監督も森泉コーチも、悲観的な考えを持っていた訳ではない。
理由としては、全日本個人総合選手権やNHK杯で使う器具は普段から使い慣れている日本製であること。3月上旬の段階でかなりの練習を積むことができていたことを挙げる。
あとは通し込みの練習量を増やして、持久力をつけていくことが、代表入りのカギとなると見ている。
「全日本まで、心配しないで」
全日本個人総合選手権は1カ月後にやってくる。その3週間後には世界選手権の個人総合代表の最終選考会となるNHK杯がある。
佐藤コーチは「W杯では気持ちが上がってこなかったことが大きかったと思う。全日本まで、心配しないで見守っていってほしい」と焦りがちな周囲にやんわりと釘を刺した。
カタールでは、ケガからの復帰戦となった内村に世界各国の選手やコーチ陣が次々に声を掛けていた。
世界選手権や五輪では姿を見ない各国の若手選手たちが、目を輝かせて内村と記念撮影をしていた。
世界に与える影響は今なお絶大だ。
「日本に帰ったら悔しさや怒りがこみ上げてくると思う。それを糧にして次は同じミスをしないように。ほんとにミスしたら終わりというように練習から常にやっていく」
内村の“逆襲”はまだ始まったばかりだ。