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「レオタードを着たくない子が半数以上」新型レオタードを開発した杉原愛子に届いた“生の声”「アイタードでしか作れないデザイン」も登場した現在地
posted2025/09/10 11:03
競技生活と同時に、体操の普及や新型レオタードの普及活動も行う杉原愛子さん
text by

矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Asami Enomoto
自ら開発したスパッツ型のユニフォーム「アイタード」をまとって観衆を魅了する25歳は、第一線から退いた時期を経て復帰3年目の今年、目を見張るような活躍をしている。最終回では、アイタードの現在地や、リアルな反響などを聞いた。《NumberWebインタビュー全3回の最終回/第1回、第2回も公開中》
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体操界に「オリンピック以外の舞台」を増やしたい
2019年以来6年ぶり5度目となる世界選手権出場を10月に控え、現在は競技中心の生活を送っている杉原愛子だが、一方で今後のビジョンについてもつねに思いを巡らせることを忘れていない。
杉原が一番強く願っているのは体操の普及であり、体操をメジャーにすること。その中で大きな目標として持っているのが、フィギュアスケートのアイスショーのようなイベントを体操競技で行うことだ。
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「フィギュアスケートと体操は同じ審美系の競技で共通するスポーツなのに、体操にはフィギュアスケートのように“見せるショー”がありません。シルク・ドゥ・ソレイユやサーカスはありますが、それは少しイメージが違います。だから私は将来的に体操競技をエンターテインメントとして見てもらえるショーを開きたいと思っているのです」
現状では体操競技の頂点はオリンピックであり、体操選手の誰もが目指したいと考える場所はそこだ。しかし、オリンピックに至る道は非常に狭くて険しい。
「ジュニアの選手たちには“体操はオリンピックだけ”というように思ってほしくないんです。体操は好きだけど競技成績が出ないからやめるというのはもったいない。だから、オリンピックには出られなくてもショーで演技を披露できるような場所をつくりたい。そして、そのためには稼げる仕組みとしてのビジネスも大事になってきます。ですからショーは一発ものではなく、継続してできるイベントを作りたいと考えています」
具体的にはマットなど簡易に運搬や設営ができるものを使い、球技スポーツのハーフタイムショーとして行うなどのアイデアがある。

