太田雄貴のEnjoy FencingBACK NUMBER
学校でフェンシングが超盛り上がる!
太田雄貴が目指す夢の「フェス」。
text by
太田雄貴Yuki Ota
photograph byTakanori Tsukiji
posted2018/03/26 08:00
第9回太田雄貴杯は、今年2月に港区スポーツセンターで開催。小学生の男女94名による熱戦が繰り広げられた。
TVで旬のスポーツであり続けるのは無理。
以前は、普及のために、なんとかテレビでの露出機会を増やしたい、と思っていました。でも、これだけたくさんのスポーツがある中で、どうやったらテレビ局にとってフェンシングが「旬」のスポーツであり続けられるか、これはなかなか難しい問題です。
今でいえば、カーリングが「旬」かもしれませんが、ずっと露出が続くかどうかは、どこにも保証がありません。
ならば、自分たちの意思でできる「露出」はなんだろう……。そう考えた時に、自然と「現場でフェンシングに触れてもらう」方向へと舵を切ることになりました。まさに草の根活動をゴリゴリにやっていくことが普及には欠かせない、と考えたのです。
この学校訪問プロジェクトも、「はじめて」教室と同様に、横展開ができるものだと考えています。私や子供たちを盛り上げる達人であるDJケチャップさんが現場にいなくても、これまでと同じように子供たちを熱狂させるメソッドができつつある。それを、各都道府県の協会スタッフで実施できるよう、うまくパッケージ化していけるはずです。
横展開をすべきことは、他にもあります。
たとえば、人口をはじめとしてさまざまな指標から割り出した競技人口のスコアでいえば、全国では岐阜県がとても優秀です。
ではなぜ岐阜県では競技人口が増えたのか。各都道府県はそれぞれライバルではあるけれど、大きなくくりでいえば仲間なのだから、岐阜県がよい取り組みをしているのであれば、それもまた、横展開していけたらより大きな成果を生むことができます。
目指すは「フェンシング・フェス」!?
この、さまざまなチャンネルでの横展開を実現するために、やってみたいことがあります。
3月はフェンシング協会の総会があるのですが、将来的にこの総会を、サミットというか、フェスのようにしてみたい。総会は総会できちんとやりつつも、同じタイミングで、これまで話してきたような横展開すべきトピックスをはじめ、コーチング理論やトレーニング法の共有、メディアトレーニングだったりスポーツマーケティング、メーカーさんからみたスポーツのあり方、組織のガバナンスの話、イノベーションを進めている他の競技団体さんのお話……さまざまな場面で役立つ情報が満載のセミナーをいくつも同時にやっているイメージです。どのセミナーを聞くかは自由。
実はこういった「裏番組」については、太田雄貴杯でも第8回から実験的に組み込んでいて、好評を得ています。
誰を呼び、どんな話をしてもらうか──キュレーション、ディレクションをきちんとやれば、相当面白くて、学びに満ちた場にすることができると確信しています。
協会の会長としてなすべき仕事はたくさんありますが、この「フェンシング・フェス」のような場をいくつ作れるかが、これからは大切になってくるはずです。