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サッカースタジアムで最高の観戦席は?
PSGが誇る世界のセレブ垂涎のVIP席。
text by
オリビエ・ボサールOlivier Bossard
photograph byAglae Bory/L'Equipe
posted2018/03/25 08:00
この扉の向こう側には……究極のスタジアムVIP席が用意されています。
最高の食事とサービス、そして最高のステイタス。
招待客はまず大広間へと通される。
そこは完全にプライベートな空間で、赤絨毯が敷きつめられ、ピアノの生演奏が落ち着いた雰囲気を醸し出している。
一角にはビュッフェが設けられ、高級食料品店の『ルノートル』が提供する料理が並べられている。試合の夜には80本のシャンペンが開けられる。
客たちはモデルプロダクションから派遣された複数の言葉を話すマヌカンのサービスを受けながらゆったりと食事をとった後に、試合を見るために242のVIP席のひとつに着席するのだった。
客の要求を満たすために、コンシエルジュのグループが控えている。タクシーやホテルの予約から人気レストランの予約、ちょっとした不作法から着替えが必要になったときなど、どんな要求にも即座に対応する。
ある人物はこう語っている。
「ここまで行き届いているのは本当に素晴らしい。だから誰もが行きたがるし、そこに招待されるのは自分が何がしかの人間であることの証にもなる。集まる人々は様々だけど、雰囲気はとてもいい。何よりみなサッカーが大好きだからね」
PSG会長と元仏大統領のみの特権とは?
多いときには1000人もの招待申し込みがあるという。それらを識別し、招待状を割り振るためにクラブはふたりの職員を専任で当てている。
そしてわずかにふたり――ナセル・アルケライフィPSG会長とニコラ・サルコジ元フランス大統領だけが、年間を通して専用の席を用意されている。
「ふたりの席に近ければ近いほど、その人物は重要な存在であるというわけだ」と、パリ市に務めるある職員は語っている。
貴賓席に関してもうひとり重要な役割を担っているのが、アルケライフィ会長の友人でもあるアデル・アレフである。
元テニス国際主審(4大大会決勝の主審を7度務めた)で、アルケライフィを支える影の存在であるアレフは、クラブのどの部署にも所属していない。だが、彼こそがPSGのイメージ戦略の中心を担っているのだった。