サッカー日本代表 激闘日誌BACK NUMBER
ジャーナリスト戸塚啓が目撃した激闘の記憶
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKYODO
posted2018/03/23 10:00
前半22分、城彰二のシュートはオフサイドでノーゴ―ル。10分後、ウズベキスタンに先制点を奪われる。
正真正銘のアウェイで逞しくなった。
日本の失点場面で僕にニヤけた顔を向けてきたウズベキスタン人は、後ろを振り返らずに席を立った。彼だけではない。試合終了の笛が鳴り響く前に、スタンドの熱は急激に冷めていった。
帰国した日本はホームでUAEと引き分け、自力での予選突破の可能性が一時的に消滅する。敵地タシケントでつかんだ勝点1は、少なくとも数字上はさほど大きな意味を持たなかったのかもしれない。
だが、メンタル的には計り知れない価値があった。テストマッチでは味わえない正真正銘のアウェイを経験したことで、チームのメンタリティは太く逞しくなったのである。
予選突破直後に川口に話を聞くと、「あの雰囲気のなかで追いつくことができたのは、僕自身にとってはすごく大きかったです」と振り返った。数多くの修羅場を経験した現在も、彼にとっては「キャリアのトップ3に入る」アウェイゲームだという。
もちろん、僕にとっても。