燕番記者の取材メモBACK NUMBER
メジャー経験が「自分を変えてくれた」。
若手も教えを乞う、青木宣親の存在感。
text by
浜本卓也(日刊スポーツ)Takuya Hamamoto
photograph byKyodo News
posted2018/03/11 11:30
軟式用のバットを握り、軟式球を豪快に飛ばして子どもたちを喜ばせた青木。
ほとんどの後輩は青木と初対面になる。
戦力的にはもちろん、あらゆる面でチームが「青木効果」を期待するのも納得できる。入団決定後、だれもが青木復帰による好影響が若手選手にも出ると口をそろえた。とは言っても、メジャー移籍前の'11年に一緒にプレーしていたのは石川雅規、畠山和洋、武内晋一、川端慎吾ら数人のみ。ほとんどの後輩は青木と初対面だ。元メジャーの大先輩とどう接していいのか、どことなく緊張感を持っているように思えた。
シートノックでは「さあ、いこーぜー!」。
そんな世代間の“壁”は、青木が自分で取っ払っていった。合流初日の7日の練習前、初めてナインの前に立った。何を話すのか――。うかがうような表情の選手たちに、笑顔で呼びかけた。「アメリカナイズされているので、日本のしきたりとか少し忘れているかもしれません。先輩ですけど、ガンガンいじってくれていいので、よろしくお願いします」と自ら「いじられ役」を買って出た。その後も、知らない若手にも声を掛けて回った。シートノックでも「さあ、いこーぜー!」と声を張った。「アメリカでは声を出すことはまずないので気持ちよかった」と、積極的に“日本流”に飛び込んでいった。
技術的なアドバイスも惜しまなかった。山田哲人、畠山、川端らだけでなく、バレンティンとも、求められれば打撃論をかわした。若手にも同様だった。宿舎の青木の部屋をバット持参で訪問し、「バッティングフォーム見てください」と素振りを始めた選手もいたという。青木は「ほとんどの人には声を掛けているつもりですし(コミュニケーションは)やれていると思いますけど、じゃあ深く(できている)かというと、まだ時間が足りないよね」と話しつつ「性格は人それぞれだからいろいろあると思うけど、そうやってお互いが距離を詰めようという気持ちはあると思う」と声を弾ませた。