燕番記者の取材メモBACK NUMBER
メジャー経験が「自分を変えてくれた」。
若手も教えを乞う、青木宣親の存在感。
text by
浜本卓也(日刊スポーツ)Takuya Hamamoto
photograph byKyodo News
posted2018/03/11 11:30
軟式用のバットを握り、軟式球を豪快に飛ばして子どもたちを喜ばせた青木。
「いつでも前向きに、楽しさを忘れずに」
メジャー時代の経験が生きている。6年間、異国の地で苦労を重ねた。「言葉もベースボールも米国の常識も分からない中、生活から全てが試練」と戸惑いの連続だった。それでも、貫いた信念がある。
「いつでも前向きに、楽しさを忘れずに」
7球団を渡り歩き、生活環境まで、めまぐるしく変化した。その中でもポジティブさを失わなかったからこそ、メジャー通算打率2割8分5厘の好成績を残せた。「(メジャーの6年間は)自分を変えてくれた。相当自信になりました」と自負する青木に、メジャー移籍前の'11年も指揮官だった小川淳司監督も「人間的にも成長したんだろうし、考え方も大きく変わったなと、感じるところがあった」とうなずいた。
さらなる「青木効果」を見込む小川監督。
キャンプ最終日。練習を終えると、選手全員でグラウンドを一周した。足並みをきっちりそろえて声を張り上げる姿は、高校球児のようなさわやかさと明るさがあった。1日10時間前後に及ぶ鍛錬の日々を一本締めで終えると、選手、スタッフが握手し、たたえ合った。充実感でいっぱいの笑顔がグラウンドに広がった。青木は「いろんな面で変わろうとしているというのはありますけど、このキャンプ、自分も参加してみて、雰囲気はいいですし、厳しさの中に楽しさもあって、元気いっぱいにみんなプレーできていると思います」と、うれしそうに振り返った。
小川監督は「間違いなく、メジャーリーガーとして6年やってきた青木の存在は、選手たちにとっては大きかったと感じます。効果として、これから出てきてくれるんじゃないかと思います」と、さらなる「青木効果」を見込んでいる。「前向きに、楽しく」を地でいく背番号23の存在が、昨季96敗とどん底に沈んでいたヤクルトに、明るい光を注ぎはじめている。