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「野球人生、どうせあと数年ですよ」
西武・高橋朋己が探す完全復活の道。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2018/03/09 07:00
一軍での公式戦復帰となった昨年10月1日の対日本ハムでは、最終回を無失点で抑える好投を見せた。
「前の感覚、もう覚えていないんですよ」
「手術をする前の感覚、もう覚えていないんですよ。1年以上投げていなかったので、西武に入ってきたときのフォームとか、ボールとか、ケガをする前のボールと比較してどうですかと聞かれても、正直言って覚えてないし、わからないんですよね。
昔のフォームの映像も見ないです。まず、手術する前とは同じ体の状態ではないので、参考にならないでしょう。だから今のボールが俺のボール。過去を追い求めても進化しないですから」
長いリハビリ期間を過ごすうちに、心境に大きな変化が起きた。自己管理の重要性に改めて気づいたと高橋は振り返る。
「入院中や、リハビリで練習ができないときに、インターネットで検索したり、本を読んだりして、トレーニングや栄養についていろいろと考えました。たとえば、パセリだったらどんな栄養素があって、体のどんなことにいいのか調べました。
そうすると食事のときに、残すものに対する意識が変わるんです。今まで残していたこのパセリに、そんな大切な役割があるなら、まずくても残さずに食べようと思うじゃないですか」
故障をするまでの高橋は、「まずいもんは食わない」がモットーだった。しかし、知識が増えれば増えるほど、食に対する意識は変わっていった。
「野球人生、どうせあと数年ですよ」
「野球人生、どうせあと数年ですよ。だったら、その数年は我慢しようという気持ちになった。体重が重くなったけど、体自体は軽いです」
高橋が言う『体重の増加』は、トレーニングによる筋量の増加によるものだ。ライオンズの中でもずば抜けて豊富なトレーニング知識を持つ菊池雄星に、様々な話を聞いた。
「本当にいろいろなことを教わりました。雄星に話を聞いてみると“こんな練習メニューもあるんだ”と驚くことばかりでした」
菊池と話をするうちに、高橋がリハビリ中に学び、ある程度まとまっていた考え方に確信が持てる機会も多かったという。