藤田俊哉の日欧蹴球比較論BACK NUMBER
藤田俊哉が本田圭佑に聞いたこと。
「今回がおそらく最後のW杯に」
text by
藤田俊哉Toshiya Fujita
photograph byGetty Images
posted2018/03/05 11:45
パチューカで得点を量産している本田圭佑。3月の日本代表戦での復帰はあるのか。
堂安、久保ら10代の台頭はベストだが。
長年ヨーロッパで戦い続け、2度のW杯を経験した長谷部誠や長友佑都らは、今シーズンも結果を残している。彼らを筆頭とした海外組からの選手選考は難しいが、本大会に向けてメンバー構成を考えたとき、2つのことが頭に浮かぶ。
ひとつは、ロシアW杯だけにフォーカスした選考である。ハリルホジッチ監督にとっては、試合で結果を出し続けることが使命である以上、こちらになるのが当然と言える。
もうひとつは、次世代の日本サッカーを考え、その可能性を広げるための視点を持った選手選考だ。1998年フランス大会での小野伸二のような存在といえばイメージしやすいだろう。
当時、プロ経験も浅い18歳の大抜擢は世間を驚かせた。しかしW杯という大舞台を経験した彼は、その後オランダでUEFAカップ(現UEFAヨーロッパリーグ)チャンピオンになるなど活躍し、日本のサッカーを大きく引っ張る存在となった。現在でも彼は、他の選手たちに大きな影響力をもつ存在としてプレーしている。
直近の結果と次世代の可能性。バランスよく選考するに越したことはないが、そう簡単にいくはずもない。フローニンゲンの堂安律やガンバ大阪の中村敬斗、FC東京の久保建英のような10代が、誰もが納得する結果を持ってW杯メンバーに名乗りをあげるような状況となればベストだろうが……。
堂安のスーパーゴールにスタジアム沈黙。
その意味ではオランダで見たVVVフェンロ戦、堂安のプレーに確かな成長を感じた。彼にボールが入れば簡単にボールを失うことはなく、効果的な展開に繋げていた。そのキープ力に驚かされた。ボックス付近での完璧なファーストコントロールから、ドリブルシュートで得点も決めた。
技術の高さを証明したそのゴールは、スタジアムが静まり返るほど美しかった。試合後にはマウリス監督も堂安について高く評価していた。エールディビジであれだけ堂々とプレーする10代の日本人選手は、将来の日本代表にとっても大きな財産といえる。最終段階まですべての選手に可能性は残されているので、引き続き彼らのプレーに注目している。