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五輪初代女王・高木菜那に聞いた。
マススタート必勝法、ありますか?
posted2018/03/02 11:00
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Tsutomu Kishimoto/JMPA
オリンピックの新種目が、“初五輪”の舞台でここまで大きく注目を浴びたのは、久々なのではないか。ナンバー本誌「平昌五輪詳報号」のための競技取材で、筆者にとってのトリとなったのが、平昌五輪で初めて採用されたスピードスケート・マススタートだった。高木菜那(日本電産サンキョー)が初代女王の座に輝いた姿には、鮮烈なインパクトがあった。
日本選手が新種目で金メダルを獲得したのは、夏と冬を合わせても'04年アテネ五輪から採用された女子レスリングの吉田沙保里、伊調馨以来。冬季では初めてである。
しかも、マススタートは見たことのなかった人がほとんどという競技だ。駆け引きのある面白さも手伝って、多くの人の関心を呼んでいることを感じる。
競輪の要素があるようにも見えるマススタート。競馬に重ねても楽しいマススタート。いったいどんな奥義があるのだろうか。
レース中に3回、中間ポイントがある。
マススタートとは、20人前後が一斉にスタートし、ショートトラックと同じようにレーンの区別なく滑って争うレースだ。W杯でも2014-'15シーズンから実施されたばかり。W杯や五輪、世界選手権には各国から最大で2人が出場し、男女ともに16周(6400m)を滑る。
レース中に3回(4、8、12周目)、上位3人に中間ポイント(5、3、1点)が与えられ、フィニッシュ時のポイント(1位60、2位40、3位20点)との合計点で順位が決まる。最終ポイントの割合が高いため、まずは1~3着でゴールした選手が1~3位となる。4位以下は中間ポイントで順位が決まり、ポイントのない選手はゴール順となる。
平昌五輪では男女それぞれ1カ国2人を上限に24選手が出場。1回戦では12選手(1カ国最大1人)ずつ2組に分かれて滑り、上位8人×2組=16人が決勝に進出するというフォーマットで争われた。